春?6

(卵の内で日々過ごす)

ヘッセはデミアンに於いて、卵の殻を世界とし、新しく生まれ出るものは世界を壊さなければならないと書いたけれど、薄さ0,数ミリ程の殻の外は何と呼べばいいのだろう。世界と呼ばれたその外には何があるのだろう。

(真暗い部屋で一人iPhoneをいじる少年)

ぼくは卵の内側で消費期限が来たるのを待っていて、或いは、卵の殻に亀裂が入るのを待っている。

(この文章を読むきみら)

ぼくらを腐らせたのはきみらの罪だ。でも大丈夫、卵の内で腐ろうが、腐卵臭は訪れない。腐乱死体は見つからない。

 

罪と罰の不均衡、砂漠の街の天気予報。