2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

置換方程式

新緑が目に痛くて、この先あと幾年、ぼくが何をしようが、この風景にぼくはいないのだろう、そんなことをふと思った。

五年や八年、自らの手で耕しつづけた土壌に、どうせこの場所は死んでいるから、なんて、気まぐれ、悪意の種を撒いてしまって、そこに偶然雨嵐、土は潤い、種は芽吹いて、悪意の花が咲き誇る。 一度咲いてしまったら次々と、咲き狂い、いずれ私は死んでしまっ…

もう二度と目を醒ますことなく、酔いも醒めないままに、胃薬なしには生きていけない様な生活なんておさらばをして

朝日。割れたガラス、膝を擦り剥き、手の平からは血が滲んで滴っている。 「すごくどうでもいいことなんて、やっぱり、ないよ」 「僕ら、ずっと上手に生きられないね」 「カエルが鳴くから帰ろうか」 彼女の帰りを待っている。 明日、明日から。 死に体の劣…

千年後の幸福は思考停止で祈れるが五十年後の幸福は祈ることができない、それどころか捨ててしまいたいとさえ思っている、小雨の日に歩きスマホをする時に抱くような、そんな小さな苛立ちが続いて、そのうち怒りさえも攫われて

飼育1

朝起きたら蚰蜒が一匹死んでいた。 アンモニア、余程生きたかったのか、口は静止の綺麗な遺骸。 梅雨を待たずに死にゆく蚯蚓。 干からびた街並みの片隅に、こびりついて、剥がれない、ペンキの青み。 白む空、ちらちらと、言葉が遠く。 蜈蚣に喰わせれば済む…