2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

春?6

(卵の内で日々過ごす) ヘッセはデミアンに於いて、卵の殻を世界とし、新しく生まれ出るものは世界を壊さなければならないと書いたけれど、薄さ0,数ミリ程の殻の外は何と呼べばいいのだろう。世界と呼ばれたその外には何があるのだろう。 (真暗い部屋で一…

春現11

思索の季節、具合は随分よくなった。 『有限性の後で』を読んでいる、アマガエルが鳴いている、ケージの中でも雨の匂いを感じたのだろうか。

春?5

同じ顔した人間が何人も何人もいやがる。いつからだ、いつからこの事実に気がついていなかったんだ?

春夢4

高田馬場駅前でバラバラ死体が発見された。発見された欠片を繋ぎ合わせたところ全体の1/5相当に当たるとみられている。 以下、第一発見者A氏へのインタビュー ・発見した際の部位はどこに当たるものでしたか? --ダイヤの10でしたね ・なるほど、ダ…

春?4

準一卵性双生児の二人が産んだ子供はどれくらい彼らに似るのだろうか。

春夢3

「何が始まりかって? たぶん蜘蛛だよ。ほら、あの、昨日だっけ? 眠っている蜘蛛に小さい傘を被せてあげただろ? あれ。あれが全ての原因なんだよ」 確かにな、ぼくはそう答えた。確かにそれがスタート地点だったと思う。ぼくが傘を譲ってやったあの蜘蛛は…

春?3

空腹は流星の陰。愛だって喉元過ぎた冷たいままに 嫌悪の目口鼻つづき心臓に至る致死量テイカカズラは 落下性ピーナッツからんと響く音、宇宙の割れ目産のひまわり 地鳴りする襲撃前夜ポケットにサクマドロップ集めて眠る

当分の音楽

名盤100選なるもの(参考 https://www.besteveralbums.com/overall.php )を見つけ、聴いたことがあるものも多くあったが、すきな曲を聴いてばかりの日々を改める良い機会だとして、全部聴こうとおもう 適宜聴き次第、○を◎に 以下リスト ◎Radiohead/The Bends(…

春?2

雨が降った夜には必ず空へ二度、懐中電灯の灯りを点滅させてやる。たったそれだけのことで救われる人がいるのであれば、そうしてやる方がきっといい。 雲の切れ間から、光が二度射しこんできた。どうやら雨が降っているらしい。雨粒に光があたり弾け、空に虹…

春現10

真実が何一つない、嘘ばかり、嘘ばかりで、虚しい 言葉を掬いあげるのに、視界をわざわざ歪ませて、ぼくはこんなことがしたかったわけじゃない 感覚への疑念、嘘ばかりを書いていたら嘘の他には何一つなくなっていた せつない暮らしのその最中、雨月物語を読…

春現9

原体験が何か疑問に思う、例えば街の隅に漂う幽霊、例えばランドセルの蓋が開いたり閉まったりする時の音、例えば窓越しに聞く友人たちの声。物心ついた時からぼくはひどい近眼だったから、何かを思い出すときは決まって匂いや音、もしくはその時にどんな事…

春現8

変わらず、変わらずくるしい 雨降りの銀座は、 言葉が出ない 胃液

春?1

窓が曇ってゆく。喉にある星を眺める。いつの日か、僕が飲みこんだであろう、星々を。膝を抱えて座りこみ、すこしねむってはまた起きて、コーヒーを淹れる。粉末の、すこし苦めのインスタントコーヒーは、僕の手のなか冷めゆきて、またひとつ淋しさばかり拾…

春現7

泥のように眠る。冷水を張った浴槽に浸かる。頭の中で喚き散らかす、僕の友人は何処か遠くへ。高田馬場、池袋、憂うつは此処では見つからない。淋しさばかりがあった筈だが、それすらも見つける事はできなくなって。煙り、酔い、漠然と遠くに感じます。

春現6

朝、愛。キャメルから、ほんのりと甘たるい匂。五月の雨と、眼球に浮く空。

春夢2

扉にドアノブのついていない、入ったきり出ることのできない部屋にいた。或いは、檻の外にただ一人となったぼくは、檻の中でぎゅうぎゅうとしている人々を眺めていた。 二秒間。 眼球が裏がえり、星が見えた。いつかぼくが食べてしまった星々が、ぼくの喉を…

春現5

頭が割れんばかりの痛み、こめかみを押さえつけねば目を抉られてしまう、そんな気さえする。胃が引き攣り咄嗟にトイレに駆けこんだ。 少し落ち着かせ、イブクイックを口に放りこみ、再度吐いてしまわぬように、少量の水で流しこむ。 東京の水道水は飲めたも…

春夢1

失いし言葉を背にして眠る夜 野良猫たちは星を眺めて 耳すまし踵引き摺る歩き方今か今かとくたびれ眠る

春現4

貫かれた、イヤホンから鳴りだす銀杏BOYZ、君は淋しい文章を書くねとあなたが言うからね、そうだろうと鵜呑みした。言葉を食べる、言葉、言葉、言葉を飲みこむ。喉に、言葉の根性焼き、誰か剥がしてくれよと書こう。 季節外れに秋刀魚の焼ける匂が路端を満た…

春現3

下手な明るさに対する罪悪感。

春現2

心が平面になってしまったかのようで、ひどく具合が悪い。その平面に言葉や思考が積もってくれればいいものの、見事にすり抜け、落ちてゆく。平面には無数の穴が開いていて、穴はあらゆる物を吸い込んでゆく。 或いは。 ぼく自身が穴から落ちつづけているの…

春現1

服を着たままの透明人間や、誰の目にも映ってしまう幽霊のことを考えていた。私を見ないでくれ、目を背けてくれ、或いは、ぼくに気が付いてくれ、目を背けないでくれ、どちらもありえる話だから。その複合なのかもしれない。 心が弱りきっているからか、眠れ…