春夢2

 扉にドアノブのついていない、入ったきり出ることのできない部屋にいた。或いは、檻の外にただ一人となったぼくは、檻の中でぎゅうぎゅうとしている人々を眺めていた。

 二秒間。

 眼球が裏がえり、星が見えた。いつかぼくが食べてしまった星々が、ぼくの喉を彩り、そして光っていた。

 やがて赤い海が広がったかと思えば、ぼくは檻の中で空を見上げるぼくを見ていた。