寒暖7

 退勤後、帰り道、家にたどり着いてしまわぬように、遠回り。一日が終わり、そうして新しく始まってしまわぬように。その道すがら、貴女の事を考える。傷を付けたのか、傷を舐め合い、そうして少しだけ互いに噛み跡を付け合ったのか、今ではどうにも分からないけれど、仙台で吐き出す息は白く染まって、カップラーメンの蓋の微細な隙間から浮かび上がる湯気やメンソール煙草に燻る貴女の横顔、焦点の合わない僕を睨む眼ばかりを思いだし、それらの痛みを抱え込むべく、安い缶チューハイのプルを引く。

 分かりあう為に買った缶チューハイは、今では痛みを刻むメモリアル、微罪汀線、貴女に赦されたかっただけなのかもね。