今は亡き2/29

文章を書き連ねてゆく、遠いところまで連れて行ってくれそうな、そんな気がしている。波が寄り、離れ、また寄る、その区間の秒数はヒトが母親の胎の中、安らかに眠っている時の鼓動と同じらしい、なんて、嘘、嘘、滅多な事は言うもんじゃありません、でもそんな嘘がつけるから僕はこうして生きてこれたのだし、少しくらいは許してくれたって。月が柔らかく光る時、きっと天使は泣いていて、その涙こそが流れ星なんだって、なんて、嘘、嘘、でもこれは本当であって欲しいなって思っている。煙草を燻らせ、君が泣く、神がなく、僕らの神の落涙に一輪の花、悪の華はきっと、赤い、真っ赤な満月から滴った、どす黒い血潮を吸い取って、育った僕らは悪の華爆撃機がサンタクロースを撃ち落としてしまったあの日から、僕らから夢が奪われた、緩やかな自殺、緩やかな絶望、温かいブランケットに包まって、僕ら液体になれたらどれほど好かったろうと、涙を落とし、減る体積、自殺ってどこか優しい、本当の話、本当に、本当。嘘ばかり吐いていたから、何処からが嘘で、何処からが本当だったか、解らなくなって、なって。でも、君のことは好きだって、今でもはっきりと憶えている。