ぱちん。星が一つ、二つ、多分、三つ。雨降りの夕闇の匂い、ペトリコール。
「近頃は僕、お酒ばかり。」
そうしてまた、
「ショウヒセヨ。ショウヒセヨ。」
言葉が浮かばなくなって、久しい。こうして途切れ途切れ、連ねてみるも酷く、酷く虚しい。
「酔っ払うと可愛いね。」
手の震え、浮いた肝臓、涙が落ちなくなってどれ程が経ったろう。雨降りの夜に鯨が泳ぐ、なんて言わないで。夜空に鯨が泳ぐから雨が降るんでしょう?
愛の価値も金の価値も移ろう理であるならば、僕らは何に縋れば良いのだろう。
あといつまで、いつまで、縋れば良いのだろう。