虚飾1

 ゆめゆめ忘れることなかれ。夢は夢だという事を。夢は夢ゆえ、美しいという事を。寂しいノイズ、寂しいノイズ。二度言葉を繰り返し、貧乏神に重ねてみるも、くるくる回って砂は溢れて。客引きが死んでしまった繁華街、ネオン倒置法、青い幽霊、緑な生霊。

「嘘なんて吐いていません」「嘘って言った人が嘘なんです」

「それは馬鹿だ」男が本を閉じて徐ろに立ち上がる。

「どこへ行くんだい」

「頭の中で話すのは、やめてくれよ。約束したじゃないか」

 改めて君はどことなく影のように見えるけど。

「そうだね。僕はきっと影だ。それも、誰か知らない乞食のね」

 今ぼくは何も話していないよ。誰と話しているんだい? 君と話しているのかい。影のくせに。

「周りの人が見ているから、もう話すのはやめてくれ」

 確かに、みんながぼくを見ているらしい。でも、それは嘘だろう。酷いやつだ。嘘つき呼ばわりするなんて。嘘って言った人が嘘なんだろう?

「僕こそ嘘だ!」