冬火4

 仕事終わり、泥酔の果て、アイドルが立っていたステージで酒を飲もうと、ワインを一本買った。ステージにはホームレスのカップルが眠っており、折角だから、とプラスチックのカップを買って酒を飲んだ。

 彼らは一ヶ月ほどそうやって暮らしつつ、家や仕事を探していると言っていたが、多分探していないだろう。どこか憂鬱そうな黒目が、僕に似ている気がして、人生にどうにも熱中出来ない、病んだ人の目。

 ワインを飲み干し、帰り、家で眠り、起きた時、ひどく惨めな気持ちになって、酒を辞めたいと、それだけ思った。