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もう二度と目を醒ますことなく、酔いも醒めないままに、胃薬なしには生きていけない様な生活なんておさらばをして
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朝日。割れたガラス、膝を擦り剥き、手の平からは血が滲んで滴っている。
「すごくどうでもいいことなんて、やっぱり、ないよ」
「僕ら、ずっと上手に生きられないね」
「カエルが鳴くから帰ろうか」
彼女の帰りを待っている。
明日、明日から。
死に体の劣等感やラブホテルのネオン看板に晒されたあの夜も全部、全部伏線であったなら、どれだけ僕ら救われるのだろう。
星1
ぱちん。星が一つ、二つ、多分、三つ。雨降りの夕闇の匂い、ペトリコール。
「近頃は僕、お酒ばかり。」
そうしてまた、
「ショウヒセヨ。ショウヒセヨ。」
言葉が浮かばなくなって、久しい。こうして途切れ途切れ、連ねてみるも酷く、酷く虚しい。
「酔っ払うと可愛いね。」
手の震え、浮いた肝臓、涙が落ちなくなってどれ程が経ったろう。雨降りの夜に鯨が泳ぐ、なんて言わないで。夜空に鯨が泳ぐから雨が降るんでしょう?
愛の価値も金の価値も移ろう理であるならば、僕らは何に縋れば良いのだろう。
あといつまで、いつまで、縋れば良いのだろう。
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こんな雨降りの黒光りする街の片隅で乾涸びたミミズが幽霊かの如く、後悔の念